2013年にCNNの医療担当記者のチーフでもあるSanjay Gupta(サンジェイ・グプタ)博士が“Why I Changed My Mind on Weed(大麻について考えを変えた理由)”の記事で、調査を通じて自身がアンチ大麻から大麻賛成派に意見を改めた経緯が語られている。
その記事が世間に与えた影響は計り知れない。
Sanjay Gupta博士が大麻について考えを変えた理由
Sanjay Gupta博士自身は神経外科医であり、Hillary Clinton(ヒラリー・クリントン)のアドバイザーとして、過去にホワイトハウス・フェローへ選任されるなど、いくつもの医療機関で要職に就いている。また、CNNの医療担当記者として複数のエミー賞を受賞していることでも有名だ。
彼は2009年のTIME誌に“Why I Would Vote No on Pot”(大麻に反対票を投じる理由)という記事を執筆しており、大麻に反対する理由を述べていた。
しかし、一転してCNNの記事において「十分調査で深堀せずに、他国のすばらしい調査結果に目を向けず、そして実際カンナビスによって症状が改善した多くの人々の声に耳を傾けなかったことを謝罪したい。」と述べている。
なお、アメリカの規制物質法上では産業用ヘンプとマリファナは同じ扱いを受け、その抽出物であるCBDも同じ扱いを受けている。
マリファナは濫用の危険性もなく治療効果に対する医学的根拠もある
彼が大麻反対派であったときは、DEA(アメリカ麻薬取締局)がマリファナを最も厳しい「スケジュールI薬物」として指定していることに注目し、スケジュールIの要件である“濫用の危険性があり、治療の為の医学的用途がない”に対する科学的根拠があると想定していた。
しかし実際は上記の要件に対する科学的根拠はなかった。むしろマリファナは濫用の危険性もなく、治療における効果に対する医学的根拠もある。さらに言うならば、人によってはマリファナでしか治療に効果が出ないケースもある。
Charlotte Figiはまさにそのケースで、生まれてまもなく発作を起こすようになり、3歳になる頃には7種類の薬を摂取していた。それにも係らず毎週300回ほど発作を起こしていたのだ。
医療用大麻は彼女の脳を落ち着かせて、発作を月に2-3回レベルまで落ち着かせることに成功した。
Sanjay Gupta博士自身は、“Charlotteのような患者と直接コミュニケーションをとった結果、医療業界に身を置く者として患者にとって一番よい療法を提供する重要性を感じた”と述べている。
元々アメリカでは1970年に薬物の製造・濫用を規制する目的で規制物質法が策定されているが、その策定は科学的根拠をベースにしているというよりは、規制の対象とならない根拠たる調査が不足しているという理由でスケジュールIにカテゴライズされている。この法律があるために調査自体を行うハードルも依然として高い。
Sanjay Gupta博士は大麻の効能等についてのドキュメンタリー番組「WEED」というシリーズを撮っており、医療機関従事者や患者、その家族との対話を通じて大麻の有用性を伝えている。初回は2013年に放映され、現在第3弾まで放映されている。
上記の番組(英語)では、CBDおよびTHCについての基礎的な説明、そしてこれらを医療においてどう活用しているかを説明している。
世界的に広がりをみせつつある大麻の利用
大麻をとりまく環境は規制・調査結果・ユーザー体験(効果)・産業が互いにからみつつ世界的な広がりをもつまでとなった。
大麻についてはTHCの効能やCBDと組み合わさったときの効果も認められ医療の現場での利用も進んでいる。一方で精神作用を及ぼす物質であるため、CBDのように精神作用を及ぼさない物質であればより幅広い利用が期待できる。